2010年香港作品
製作総指揮:ロバート・リー
監督:レイモンド・イップ、マンフレッド・ウォン
出演:アーリフ・リー、レオン・カーワイ、クリスティン・チョン、ハンジン・タン、
ジェニファー・ツェー、オウヤン・ジン
新橋駅前のAround 50のお父さんたちが、ヌンチャクを手わたされると、少年時代に戻ったようでした。
日本では東京国際映画祭で一度上映されましたが、没後40年の今年に合わせての上映です。
でもね、ブルース・リーが武術の鍛錬に励むとか、理論を体得していくとか、そんな話ではないんです。
渡米するまでの時代を描いたもの。製作総指揮のロバート・リーと彼と姉の記憶をもとに
香港時代の彼と彼ら家族をを描いた映画なのです。
俳優の父を持ち、幼いころから芸能界で子役として活躍していたブルース。子供のころから
負けん気が強く、いたずらっ子。中学に入ると仲間とつるんで喧嘩にあけくれ、ダンスを踊り、恋をする。
詠春拳を始めたのも、ケンカのためだったりするのですが、その成長の過程で、後のブルースの片鱗が
少しづつ表れて来ます。
ブルースが青春時代を過ごした、40~50年代の香港の風景や風俗が絶妙に描かれています。
唐楼が立ち並ぶ街並みだけでなく、今は時計台のみが残る旧九龍駅に到着する汽車や、
啓徳空港を臨む山の上からの眺め。50年代のファッションや音楽。昔ながらの屋台。時代の背景。
この映画も、ある意味香港映画内の懐古的傾向の流れの中にある映画のひとつと言って
いいかもしれません。
カンフーのカリスマ、ブルース・リーを見に来た人には拍子抜けかもしれませんが、ところどころで
ブルース・リー映画のオマージュがありますし、英国人ボクサーとの試合も見所になります。
香港電影迷にとっても、あの時代の香港芸能界の様子を垣間見るチャンス。懐かしの俳優さんを
現在の俳優さんたちがカメオで出演しております。ただし、このあたりは日本上映版では
多少端折られているようです。
それにしても、ブルースがダンスの名手だったっていうのは意外。どちらも、高い身体能力が
要求されますが。
ブルース・リーにあこがれた「サタデーナイトフィーバー」の主人公や、
ダンスをするのも腑に落ちますね~。実は日本のAround/Over 50の方たちにもそんな人が
いるのかもしれません。