「一念無明」Mad World
2016年 香港作品
監督：ウォン・ジョン
脚本：フローレンス・チャン
この作品、第１２回大阪アジアン映画祭で、作品賞をとりました。
香港映画にも、こんな重いテーマを取り扱った作品がありました。
それを作ったのが、27歳の新人監督。そしてその脚本に惚れ込んだ
香港スターたちが、無償で出演したという映画です。
主人公の阿東は、家を出た父、アメリカに永住した弟に代わって
寝たきりの母を一人で介護していたが、入浴中の事故で母が死亡。
その責任から重いうつ病になり、精神病院に入院していた。
退院後、疎遠になっていた父と狭いアパートに暮らすことになる。
この映画、介護や家族問題だけでなく、精神疾患に対する社会の偏見を
描いており、本当に重くて辛い。
母との厳しいやりとりが常に脳裏から離れず、父とも和解できず、
友達とも疎遠になり、必要なコミュニケーションもとれず、
（故意ではないのかもしれないが）元婚約者の仕打ちは彼を打ちのめす。
それでも最後まで目を離せないのは、その描写力だと思いました。
最後の解釈は、観客の手に委ねられます。
