こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「ザ・ミッション/非常の掟」 (鎗火)

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監督・脚本: ジョニー・トー  1999年香港作品
出演 : アンソニー・ウォンフランシス・ンロイ・チョン、ジャッキー・ロイ
     ラム・シュー、サイモン・ヤム、コウ・ホン

この映画、限られたプロットのなかで起こる、数日間の出来事を描いた話なのに、
ほんとに百看不厭な映画です。初めて見たのは2000年、東京国際映画祭と平行して開催された
香港映画祭。会場に加藤雅也が来ていたことを思い出しました。

香港黒社会のボスが、何者かに命を狙われます。そこでボディーガードとして雇われた、
グワィ、ロイ、マイク、シン、フェイ。それぞれ腕は立つが個性的な面々。彼らが
ボスをガードしている間に、感情と物語が進行します。

とはいえこの映画、セリフが少ない。説明的なシーンも少ない。でも、5人の間に
流れている空気が変わるのがわかる。銃撃戦は、普通の香港映画に見られるような
派手なアクションはなく、響く銃声は静寂と停止に包まれていたりする。荃湾のジャスコ
銃撃シーンは緊迫感抜群。でも、人の動きが良く見えるように出来ているのです。
そして最後の後始末まで、予断を許さずにあっという間に81分。短いけど濃くて得した気分。

DVDのインタビューを見て驚いたのですが、この映画には脚本らしい脚本がなく、俳優たちは
その場にならないとどういう展開になるのかわからなかったらしく、先のストーリーなどは
全然知らずに演じていたのです。それなのに、ストーリーは綿密に練られてているように
見え、各配役の個性も一貫してできあがっているように見えるのです。香港映画には欠かせぬ
性格俳優の面々と、トー監督の演出に、さすがと言うしかないでしょう。いつもは熱い
アンソニーがクールなオヤジになり、いつもはキレまくってるジャンユー(フランシス!)が、
細かいけどデキるオヤジに。いつもは冷酷無比なロイ・チョンに情がでちゃうし、ラム・シュー
でさえかっこよく見える始末。私はこれでフランシス・ンに惚れました。2回目に見たのは
彼が来日会見を行った先行上映会。朝から並んで行ってしまいました。かっこよかったです。

ジョニー・トーは、ノワール系だけでなくラブコメから特殊メーク物まで幅広い映画を
数多く撮る人ですが、明星使ったラブコメでお金を稼ぎ、こういう自分が撮りたい映画を
撮っているんだそうです。でも、大衆マネーメーキング系の映画にも、ちょっと変わった
テイストのものが多くて、それが“ジョニーワールド”だと思います。目が離せません。