こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「硝子のジェネレーション ~香港少年激闘団~」 新古惑仔少年激闘篇

監督・撮影 : アンドリュー・ラウ    1998年香港作品
製作 : バリー・ウォン  製作・脚本 : マンフレッド・ウォン
主演 ; ニコラス・ツェーサム・リーダニエル・ウー

ご存知「古惑仔」シリーズの番外編の一つ。ナンやサンカイ達がどのように
黒社会に入って行ったか、描かれています。話の始まりは、「欲望の街」の冒頭でも
見かけた遊技場での揉め事。1989年、学校にも馴染めず家庭にも馴染めず、鬱屈した
エネルギーの捌け口をバンドに向けていますが、それすらも受け入れられず、学校を
退学になってしまいます。ナンが思いを寄せていた女の子がらみの暴力事件で警察に
つかまったことをきっかけに、洪興社に関わって行くことになります。

シリーズ物の、ニュー・ウェーブな黒社会モノの一部ではありますが、ナンやサンカイの
ような子供たちが、“古惑仔”(チンピラ)になっていく背景が見えてくる作品でもあります。
彼らは香港で生まれ育った世代の彼ら。食うため生きるために何でもしてきた、移民である彼らの
親の世代とは、社会的にもずいぶん違うはずです。しかし、学校から落ちこぼれ、香港の厳しい
競争制度からはじき出された、裕福でもない家庭の子供たちが行きつく先の一つとして
黒社会が描かれているのです。そういう意味では「メイド・イン・ホンコン」とも通じるものが
ありますが、こちらは売れ線のエンターテイメント。苦しみ、もがき、傷ついた先には
サクセス・ストーリーも待っています。

本編でイーキン・チェン演じるホーナンの少年時代を、まだデビューしたてのニコラス・ツェー
極道の父親の死、母親が再婚と義父との不和、淡い初恋と年上の女性へのあこがれ、母の死、
暴力や死への恐怖の葛藤を、初々しく演じています。傷つき泣き叫ぶ姿も、屈託の無い笑顔も
ステキ。母性本能をくすぐられるものがあります。その後、フェイ・ウォンとつきあったり
してたから、年上の女泣かせなのかもね。挿入曲も、ニコラスが歌っていますよ。

サンカイには、「メード・イン・ホンコン」で一躍有名になったサム・リー。女好きの
軽いノリが、サンカイのイメージにはぴったりでしょう。

冒頭の揉め事に出てくるBさんとカンには、「欲望の街I」の冒頭のようなたっぷりの
髪の毛はありません。なぜだあ。それから、ポートランド・ストリートを徘徊する
十三妹と阿潤がオマケで登場してます。