こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「太陽」 The Sun

男子ご誕生の今日、ひいおじいちゃんのお話である、話題の「太陽」見てきました。

終戦直前から占領に至るまでの昭和天皇を、描いた作品です。天皇が、公式な場面ではなく、
プライベートな側面から描かれたことは画期的です。もちろん、映画はフィクションです。
だからといって、人間“天皇”の人生を語るに損なわれたようなところは無かったと思います。
むしろ、日本人には出来なかったこと、ロシア人のソクーロフ監督だからこそできたこと
だといえるかもしれません。

自分の意思で手に入れた地位ではなく、天孫として生まれついた人。現人神と
して振舞うことを、要求された人。多くの人にかしずかれながら、大いなる孤独の
中にいた人。家族を愛し、教養のある、ひょうようとし、浮世離れした学者肌な人。
自分の行いの結果に恐怖する人。そんな昭和天皇の内面を、多くを語らずとも
表現したソクーロフ監督の映像と、イッセー尾形の演技に拍手を送りたいと思います。
皇后役の桃井かおりも、短い出番の中で見せた一瞬の表情が、おっとりとした
笑顔の下の皇后の内面を見せました。

さて、この映画、現在東京では銀座のシネパトスでしかやっていません。この映画館、
三原橋の下の、その昔はエッチな映画ばかりやっていた、今では他ではやらない
B級映画をよくやっている所です。昭和通りの地下をつないだ通路にならぶガード下の
安い飲み屋と同居しています。おかげで、通路は生臭い焼き魚の臭いが充満しており、
待っている間だけで体中魚臭くなりそうな感じ。オマケに、ネズミが出るんです。
最近は館内が階層されてきれいになってますけど。それから地下鉄の音が響くのも気になります。
こんな、静かな映画を見るのにはちょっとふさわしくないんだけどね。やっぱり、
題材が題材だけに、他ではやれないのかな。