こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「エレクション」 黒社会

2005年香港映画
監督:ジョニー・トー  脚本:ヤウ・ナイホイ、イップ・テンシン
出演:サイモン・ヤム、レオン・カーファイ、ルイス・クー

去年のカンヌ映画祭のコンペ部門にも選ばれたこの映画、11月の東京フィルメックス
映画祭でもでも招待作品として上映があります。一足お先に見てきました。
やっぱり、ジョニー・トーはまたまたすっきり割り切れない映画を作っていたのでした。

舞台は香港の最大の裏組織である洪門会。2年に一度行われる会長選挙が行われる
ことになります。候補は2人。組織の秩序と兄弟を重んじるコウと、気が荒いが
商売にたけているディー。選挙戦では、欲望と金と暴力との裏工作が絡み合っていきます。

単純にコウvsディーの図式で理解できる話ではありません。巨大な組織のなかで
幹部達やその子分達の思惑が絡み合い、だれがだれに協力しているのか、混乱しています。
微妙な力関係の揺れが、新たな展開となっていくのです。でも、結局は権力闘争。政治の話と
同じで、誰かに肩入れして見れるような話ではありません。そして最後は、予測をしていた
ものの“どうして?”といわざるを得ない。見方が足りないかなあ。Part 2を見れば
すっきりするかなあ。でも、きっと何か割り切れない、映画的予定調和がないのが
ジョニー・トーの世界なんでしょう。

暗いトーンで引き気味に黒社会の幹部達の様子を写すカメラ。クールで感情的な描写が
抑制された映像。雑多で、危険な街香港。そして、歴史もしくはオリエンタリズム
感じさせる黒社会の儀式が対照的。

俳優陣は職人技。主演のサイモン・ヤムとレオン・カーファイの存在感は言うまでもありませんが、
脇役人も多彩です。ジョニー・トー映画には欠かせない、ラム・シューおじさんは、今回は
組織のしきたりに忠実な義理堅い男。経済学なんか勉強してる今時ヤクザのルイス・クー。
ウォン・ジンの太っちょお父さん、ウォン・ティンラムも相変わらず存在感あります。