文雀で香港行きの予習・復習
香港行きの予習・復習のために、2008年ジョニー・トー監督作品
「スリ」(文雀)を久しぶりに鑑賞しました。
監督のインタビューによると、香港の古いものを映像に留めるべく映画を
撮ったということで、香港島の中環のミッドレベルから上環、西營盤、
堅尼地城あたりまでの風景が流れるように映し出されます。
私が見た、2008年当時の上環。
映画の中では、スリのリーダー演じるサイモン・ヤムが、モノクロフィルム
カメラで、街と人々の営みを写真に収めています。
トー監督が残したかったのは、古い建物や風景だけでなく
昔から香港にある、人々の営みや感情でした。
香港で成り上がった、裏社会の老ボス。そのボスに囲われる、大陸から来た女。
老人は若い女を籠の中に閉じ込め、女は逃げ出そうとする。
社会からはみ出たスリのグループ。四人は昔ながらの冰室の同じ席で、
毎日食事をする。
四人が乗る自転車、リーダーが2眼のローライで撮る、街の人々。
美女に翻弄されるとか、メンツとか男気とかが行動の動機になる。
それがかつてあった、人々の感情や営みなのでしょう。
トー監督は、それぞれの登場人物に何かを反映させたりはしていないと
言ってました。どう取るかは、観客に委ねています。
ただ、10年経ってこの映画をみると、色々な意味で象徴的に見ます。
大体、このキャッシュレスの時代、スリっていうもの自体が
成り立たない古いものの象徴であるかのようです。
さて、今年の香港、どんなものが取れるのか。映画も観れるかな。
楽しみです。