こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「公主復仇記」 Beyond Our Ken

2004年作品
監督:パン・ホーチョン  脚本:パン・ホーチョン、ウィン・ウィンシー
撮影:チャーリー・ラム
出演:ダニエル・ウー、ジリアン・チョン、タオ・ホン

2004年の東京国際映画祭で、[香港新人類]ということでパン・ホーチョン特集が
組まれました。4作上映されたうち、最新作としてこの映画が上映されています。
今年の映画祭で、パン・ホーチョンの映画を見る予定になってるので、予習の
つもりで見ることにしたんですが、なかなか面白い話で引き込まれました。

消防士のケン(ダニエル・ウー)と交際中のカラオケバーのウエイトレス
シャーリ(タオ・ホン)の前に、ケンの前の彼女チャン(ジリアン・チョン)が
現れます。ケンはチャンと別れた後、彼女のヌード写真をネット上に公開し
それが元でチャンは仕事を失っていました。彼女のヌード写真を取り返すべく
2人は協力するようになり、不思議な友情が芽生えていきます。

題名の“公主”というのは、プリンセスのことです。“王女様の復讐記”とでも
いうところですね。なぜプリンセスかというのは、プレイボーイのケンが
女の子を口説くのにいう、甘ったるいセリフからきています。“プリンセスを
傷つける王子様は、ほんとの王子様じゃないよ。”とかいうんですね。
おまけに、消防士であることを利用して“もし今誰かが僕に人をを助けるように
言ったら、君を助けるよ。”なんてことまで言うわけです。この男、同じ言葉を
2人(以上?)の女に吐く、イヤーな奴なんですが、嘘を知るまでは女はコロっと
だまされているのでです。

でも、女はしたたか。騙されて泣き寝入りするわけでもなく、巧みに復讐を企て
ていきます。2人とも、最後はちょっとそら恐ろしい気もしますが、彼女らが出した
結論の、なんと現実的で賢いこと。女は強し。

今時の、甘ったるい純愛ストーリーに物足りないものを感じている方には
おすすめです。かといってドロドロしたものでもなく、今時の若者の恋愛で、
さらっと共感できるようになっています。どう始末をつけるのか、見ていて
楽しみなくらいなのです。監督が、映画祭のパンフレット上で語っているます。
「僕はただ、信頼と裏切りについてのストーリーを語ろうとしただけであり、
ストーリーというものはすべからく人類についてであり、人類というものは
男と女の2種類しかいないのだ。」