こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」 the Final Tour

山本耕史主演の「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」最終日、行ってきました。

「ヘドウィグ」のみならず、「プリシラ」や最近では「キンキー・ブーツ」など、
ドラッグ・クィーンの物語はなぜか女性をひきつけるものがあります。見ていてとっても
切ないの。「ブエノス・アイレス」の主人公達は、見た目男です。でも、彼らの紡ぐ
恋愛は、強烈で哀しい。なんでかなあと思っていたら、ホモ・セクシュアルの方々の脳は
私達女性と同じく脳梁が太くて右脳と左脳の情報の交換量が男性より断然多いのだそうです。
彼(彼女)らの人生の悩みは、女性の私達にとっては人ごとではなく、共感できるものなのです。

黒川伊保子さん著「恋愛脳」によると、脳梁の細い男性脳は、右脳と左脳の違いがはっきり
際立つ、生まれつきものの奥行きに強い脳だそうです。比べて女性脳は、平面的、目の前にある
ものをつぶさに観察することに強い脳なんだそうです。そんなわけで、女性は子供の頃から
その中心にある自分に興味が集中する。こうして肥大化した自我にどう折り合いをつけるか
っていうことが、女性が大人になることだと書かれています。

ドラッグ・クイーン達の自我は、女性と同じように肥大化していく。女性がその自我と
社会に折り合いをつけていくのが難しいということ以上に、精神的にも物理的にも、彼女達は
自分に折り合いをつけていくのが難しい。そんな彼女らに同情し、共感せずにはいられない
のでしょう。

ヘドウィグの存在については、別の見方もできるでしょう。彼女は自分を“私は新しい
ベルリンの壁”と言っています。この壁は“性別”であるかもしれませんし、見る人によっては
別のものにとることができるかもしれません。ヘドウィグは“私を打ち倒して見なさいよ”って
既成社会に挑戦しているのです。

今回のバージョンは、あえて曲は英語で歌われています。映画からしか推察できませんが
オリジナルの曲を壊さないという意味では、良かったのじゃないかと思います。

ヘドウィグ演じる山本耕史は、ミュージカルの実績もあり、歌は上手いと思います。
だけど、ヘドウィグにはちょっと健康的すぎかなあ。結構体格いいんですよ。オリジナルで
演じるジョン・キャメロン・ミッチェルは、華奢なのもあるんですが、喋り方とか仕草とか、
ねっとりとした性的な感じを持っているんです。そりゃあ、ティーン・エイジャーのトミーが
恋しちゃうのも納得です。

2年前の三上博史のヘドウィグは(香港中文大学のサマースクールのため)見られなか
ったんですが、見た友達によれば強烈な色気があったとのことです。山本クンは仕草が
男の子っぽいし、時に“桜塚やっくん”のようにも見えちゃう。まあ、まだ若いから
この辺の演技力を今後の課題にして、飛躍していただきたいものです。

ともかく、固定客しっかりついていて、皆さん何度も見たのねーって感じでしたね。
なんだかんだいって、山本クンは人気も実力もあるしね。それともやっぱりこれは
“ヘドウィグ”のキャラの魅力かな。