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引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「ミリキタニの猫」 The Cats of Mirikitani

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ミリキタニさんの人生も、リンダ・ハッテンドーフ監督がミリキタニさんに出会ったのも、
彼らの人生も、起こった事件も、この映画ができたのも、すべて必然と思われるような
映画でした。

2001年冬、監督であるリンダ・ハッテンドーフは、家の近所でミリキタニ氏に出会います。
彼は80を過ぎた日系アメリカ人。ニューヨークで絵を描きながらホームレス生活を送っています。
彼は自分のことを“Great Master Artist"といい、商業アートと一線を画し、ひたすら絵を描い
ている。それは猫の絵であったり、社会で起きたことを題材にしたものであったり、日本画のようで
あったり、ポップアートのようであったり。リンダは彼に興味を持ち彼をビデオに治めていきます。
ビデオを向けたミリキタニ氏は彼の人生を語り始めます。

アメリカで生まれたのに、第二次世界大戦日系人強制収容所に送られ、家族もバラバラに
なり、何もかも失った彼は、アメリカ政府・社会に抵抗し、市民としての権利を放棄しています。
幼い頃育った広島は原爆投下に会い、母方の親戚はほとんどやられたといいます。彼の
人生に大きな影を落とした戦争と差別に対する怒り。いろんな思いを絵に表現し、それを
人に伝えていこうという思いが、ハッテンドーフ監督を引き寄せ、9.11に遭遇し、脚本の
ないドキュメンタリーに脚本以上の物語が与えられていくのです。

自分の祖母と同じぐらいのミリキタニさんの人生と思いに、深く感動するとともに、
一時的にでも彼を自宅に引き入れて援助し、彼の家族を探し、市民権を復活する手助けを
したハッテンドーフ監督の、人間としての大きさに惚れ惚れ。

試写会の最後に、ハッテンドーフ監督とミリキタニさんが登場。本当の祖父と孫のようでした。

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