こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「ブロードウェイ ブロードウェイ コーラスラインにかける夢」 Every Little Step

私自身「コーラス・ライン」を見たことがないし、特にミュージカル好きというわけではないのですが、このドキュメンタリー映画すごく心に残りました。

‘70年代に「コーラス・ライン」を作ったスタッフ達が、新たにキャストを募集して「コーラス・ライン」を制作することになります。’70年代のオリジナルは、振付家であり演出家であるマイケル・ベネットが若き俳優の卵たちを集めてそれぞれの思いを語らせます。録音したその時の模様から始まり、その録音したものを脚本として、ミュージカルとして仕上げていく過程、オリジナルのキャストやスタッフ達の当時の制作秘話と、新たな「コーラス・ライン」のためのオーディションを受ける若き俳優たちを交錯させて見せていきます。そこに関わる人たちの個人的な想いから、その個人の思いが集まって一つの作品を作り上げるまでの過程が明らかになります。

アメリカという競争社会の中の、ニューヨークのブロードウェイというさらに厳しい競争社会。最終オーディションに残る人たちは、ほんの一掴みの人たち。彼らには本当に頭が下がります。毎日毎日厳しい練習を続け、何度同じようなオーディションを受けたことでしょう。普通なら途中でめげちゃうんじゃないでしょうか。でも、何があってもひたすら自分がしてきた事を信じ、明日に繋げていくしかない。20代前半の女の子が、“自分の人生には、ダンスしかなかった。他の人たちがどんなに楽しそうにしていても、自分には練習しかなかった。”と言います。オペラ座のバレエ団のドキュメンタリーを見たときも同じように思いました。そこまで、自分の人生を捧げようと思うのはなぜかと。

スタッフ達にも様々な思いがあります。この作品を作り、初めて上映に至るまでの思い。そして、それをまた新たに託す人たちを見つけるための思い。自分が以前にやった役をどの人にやらせるか。それぞれの役を、どのように演じてもらいたいのか。色々な思いが交錯します。役者は、ただ歌やダンス上手いだけではいけない。個性や容貌の違い以上に、人によって考え方が違えば、演技も違う。その中で、彼らが求めるものを持っている人を見つけ出す。本当に、すばらしい演技に出会えたときは、本当に嬉しそう。たとえオーディションであっても、その演技に涙さえ流すのです。

大勢の人が関わりあいながら大きなものを作り上げるということは、なんと大変なことか。でも、だからこそ、人生を捧げ、感動を呼ぶものを作ることができるのでしょう。