こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

TIFF コンペティション 「ルールを曲げろ」 Bending the Rules

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2013年 イラン映画
監督:ベーナム・ベーサディ
出演:アミル・ジャファリ、アシュカン・ハティビ、
   パパラン・パニ・アハマディ、ネダ・ジェブライーリ
 
イラン映画といえば、キアロスタミ監督などの、市井の人々を
描いた映画を思い出しますが、イランの社会も変わりつつあり、人々も
変わりつつあります。
 
この映画は、大学生などの若い人たちが参加するアマチュア劇団を
描いています。イランの若い人たちは、今や携帯電話を持ち
インターネットで内外の情報が得られることによって、外の世界を
知っている人たち。革命をへて、苦労して今の地位を築き上げた
親の時代の人達との間には、深い深い溝があります。
 
それでも、ここはイラン。大学生と言っても、親に背いてまで何かを
するということは、大変なこと。劇団は海外公演のチャンスを得ますが
主演女優のシャフルザードは、父親に強く反対され、家に連れ戻され
ますが、帰宅途中で逃走。劇団も、公園中止の危機に陥ります。
 
長まわしのカメラが、部屋から部屋へ、人から人へ、流れるように
捉えていきます。まるで舞台を見ているかのようで、ひきつけられます。
 
この演出について、日本映画からの影響があるかという質問に
ペーサディ監督から興味深い答えを聞くことが出来ました。
監督が育った頃、イランのテレビでは(道徳的な部分が相容れるため)
日本映画やドラマをかなり多く放映していたとか。溝口監督や
黒沢監督などの作品を繰り返し見ることによってえた影響は少なく
ないようです。イランの人達が日本のテレビや映画で育っただなんて
考えたことなかったですね。
 
新しい世代がこうやって台頭しつつあるものの、今もなお表現の自由
制限されるイラン。制約の中で格闘しながら、自分たちの考えを伝えていく。
静かではあるが大きなエネルギーを感じる映画でした。