製作 ： エリック・ツアン
監督 ： ピーター・チャン、リー・チーガイ
出演 ： トニー・レオン、レオン・カーワイ、カリーナ・ラウ、アニタ・ユン
＜あらすじ＞
お人よしで頑固な父親と上手くいかない青年ユン。我為人人、人人為我”（１人は皆のために、
皆はは１人ののために）をモットーに、だれかれ構わず助けようとする父親のことを理解できない。
だが、父親が若い頃どのようだったか知りたくなり、何十年かに一度木星が月に重なる中秋の時、
願いをかけて40年前の春風街にタイムスリップ。そこで若い頃の父と母に出会い、2人の人生に
巻き込まれていく。過去に帰って若い父と出会い、初めて本当の彼や母、近所の人々の
ことになる。
昔の父親に会うっていうのは“バック・トウ・ザ・フューチャー”みたいではありますが、
こちらは荒唐無稽なSF話というよりは心に染みる人情話です。父親と息子の葛藤は、今の世に
始まったことではありません。お金と自分が大事なユンは、父親に反発してお金に執着し、
彼女には不実。自分には良心もないと言い切るユン。これは、'90年代前半返還に揺れていた
香港人の心を表現したものでもあったでしょう。ユンは現代香港人の１人であり、この物語は
現代香港人が、過去に帰ってこの40年の変化を見つめ、人々の良心に出会う話でもあった
のでしょう。
造りはずいぶんコメディタッチですが、ストーリーテリングの上手さのため、引き込まれます。
女たらしの“熱視線”トニーはもちろん、若い時と年をとってからの両方を演じている、
レオン・カーワイとカリーナ・ラウの演技にも拍手。オマケですが、リー・カーセン、
ワトソンズ創業者など、現代香港の有名人の40年前の姿なども描かれています。
