こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「キンキー・ブーツ」

イギリス映画おとくいの、笑えて元気が出る、inspired by true storyです。

靴のフィット感って、だだの身に着ける物っていう以上のものがあると
思います。ああ、これだって思う靴に出会って、するっと履いてぴたっと
合った瞬間の恍惚感。足と一体化するような感覚。男の人の靴って
ゴツいから、そういうのあるのかどうか分かりませんが、パンプスとか
ブーツとか、華奢だったり足に密着性のある女性の靴って、より足の皮膚感覚に
訴えるものがあるんだと思います。そして、靴は自分のいる社会のメタファー
でもあります。居心地が悪かったり、見掛け倒しだったり、それでも自分に
合う場所を探し続ける。だから、ドラッグ・クイーンのローラは真っ赤なロングブーツに
自分の性を求め、現代的な女性ニックは華奢で高価なジミー・チューの靴に
自分の幸せを求め、結局自分で手に入れることになるのです。

主人公チャーリーは、まじめで優しいけれど優柔不断な男。伝統的な靴工場の三代目の
父を尊敬しつつも、そこに馴染めないものを感じています。(だから彼はいつも
スニーカーを履いているの?)彼も、自分の場所を探しあぐねていたのです。

ちょっと情けない彼を叱咤激励する若い女子工員のローレンや、古くから父の元で働く
ジョージ、その他個性豊かな工員たち。目新しいことはありません。シンプルな
お話ですが、上手に仕込まれたドラマになっています。冒頭のハイヒールを履いて
踊る子供の姿が胸に残ります。