こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「ウィンター・ソング」 如果・愛

10年愛といえば、名作「ラブ・ソング(甜蜜蜜)」のピーター・チャン監督。久々の
監督作、見せてくれました。ミュージカル作品であり、その色彩からバズ・ラーマン監督の
ムーラン・ルージュ」と比較される方もいらっしゃるようですが、こちらは劇中劇形式で
過去と現在が錯綜し、時々天使が物語をつなぎ、時の流れを切なく描いています。

孫納(ジョウ・シュン)は、見東(金城武)と監督(ジャッキー・チュン)の結局どちらを
愛していたのか。どちらも本当に愛していたと思います。結果的には、彼女は2人の男を
踏み台にしたのかもしれません。でも、彼女なりに彼らを愛していたのです。20代の頃
って、結局自分しか見えていない。そのときの自分の気持ちで、突き動かされるだけ。
その頃と今の自分をを考えると、彼女の気持ちも分かってしまうかも。

無邪気さと成功のために何かを犠牲にすることのできる二面性を持つ女を、ジョウ・シュン
見事に演じています。切ない男をやらせたらバツグンの金城武ですが、今回はそこに屈折を
プラスしています。何より目を見張るのは、ジャッキー・チュン。彼の歌が素晴らしいのは
周知の事実。今回は、あの表情にやられました。彼女を疑い自分の才能の枯渇に苦悩する彼。
彼女との関係に区切りをつけ、天使(チ・ジニ)の出した酸辣麺を前にした時の彼。是非是非、
見ていただきたいです。俳優さんもさることながら、やっぱり、ピーター・チャン監督は
人間を丁寧に描く監督さんだと思いました。