こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「ボルベール<帰郷>」 Volver

アルモドバル監督は、法律や理屈では裁ききれないような愛憎を描きますが、今回の映画は今までよりは“腑に落ちる”映画かもしれません。同じ運命をたどる母娘なんて因果応報的な気もしますが、カソリックの信心深く迷信がまかり通るスペインの田舎町、女たちが大理石造りのお墓を掃除する様など見ると、日本の田舎と精神性が似たところがあるのかもしれません。

様々な葛藤の中、母娘の絆は強く、女同士の協力は頼りになるのです。男の入り込めるところはありません。ペネロペ・クルズは、付け尻までして、訳アリのティーンエージャーの娘を持つ、気性は激しいがたくましい女をリアルに演じています。ちょっときれいすぎかもしれないけど、生活感と苦労感大有りでした。拍手。そして、娘とうまくいかず、切ない日々を過ごしてきた母役のカルメン・マウラも、孤独な年月を感じさせながらも、かわいい。家族で起きたこと、村で起きたことは内輪の話。自分たちでかたをつけていく。最後の邂逅は、胸を打ちます。そして、原色のコントラストの強い色彩は、女達が花と咲いているようです。

それにしても、ペネロペ一家の女たち、誰もが誰にも似てないんだよなあ。