こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」

こういう漫画ちっくで一見節操がないけど、じつはよく出来ている映画って、いいですねー。
何も考えずにその世界にひたれるし、刺激的。でも、決して超B級なわけじゃないのよ。
映像凝ってるし、役者ものってるし。何しろ、三池監督の色、エロ・グロ・ナンセンス・
暴力たっぷりけど映画への思い入れとか美意識、たっぷり。ウェスタンへのリスペクトも
日本人であることへの自負心も感じられる。ヴェネチア映画祭では、海外の三池マニアが
スタンディングオベーションだったという話です。

始まりからして怪しい。絵に描いた富士山の前に座ってスキヤキ食べているのは、
タランティーノ。それを追ってくるのが香取信吾。タラちゃんが語る“平家物語”から
話が進みます。

壇ノ浦から数百年後。平家の隠し財宝をめぐって、ならず者と化した平家の末裔と
源氏の末裔が寂れた村を荒らしまわって対立している。そんな村に、1人の凄腕
用心棒がやってくる。果たして、彼の目的は...

独裁的だけど実は性格のちまい清盛に佐藤浩市。おバカな二重人格保安官に香川照之
他にも石橋蓮司だの、塩見三省だの、味のあるベテラン俳優たちが、よくもこんな役を
と思いつつ、嬉々としてやっているようでした。源氏のボス義経伊勢谷友介、やっぱり美形。
匂い立つ華がある。英語も上手いし。ホントは美形の安藤政信、入れ歯で狂気の切れ男
になってしまいました。怪しいタランティーノとオババ桃井かおりは予想外の
展開。そうきたかっ。木村佳乃は、ちょっと健康的すぎかなあ。

こんな強烈なキャラのなかで、はっきりいって影が薄いのが、主人公のはずの伊藤英明
なにしろ役に名前がないんです。でも、なんだかこの色のなさが、伊藤英明っていう
俳優なのかも。いい男なのかもしれないけど、華がないなあ。最後の決闘なんか見てると
伊勢谷君のほうが断然かっこいいもんね。

やっぱ映画は、こういうふうに映画でしかできないもの撮って、おもいきり
エンターテイメントして欲しいです。テレビドラマの延長ではいやだなあ。
ありえないなんて思わないで、思い切りリアクションしながら見てください。