こぶー休息中!

引っ越して来ました。おばブーの旅(主に香港)と映画の日々。

「三国志」 三國之見龍卸甲 Three Kingdom Ressurection of The Dragon

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2008年 中国・香港・韓国作品
監督:ダニエル・リー  製作:チョン・テウォン、スザンヌ・ツアン
出演:アンディ・ラウ、サモハン・キンポー、マギー・Q
   テイ・ロン、ヴァネス・ウー、アンディ・オン

昨年の「レッド・クリフ」の大ヒットで、今年は「投名状」、「江山美人」等、“古装片”(歴史物)の日本公開が続きますが、これもその一つでしょうか。おまけに、“三国志”物ですから、“レッド・クリフ”外伝か遺聞のようですが、関係はありません。日本では、ゲームがらみで戦国武将ブームが起きていますが、中国でも現代作家による小説やゲームから始まった、三国志ブームがあるようです。

実はこの映画、ダニエル・リー監督が自ら書いた小説を原作としています。史実として知られる人々の中に創作を加え、趙子龍という人を描いたものになっているようです。映画の始まりで、趙雲子龍アンディ・ラウ)が平和の世の中を目指して軍隊に入り、劉備玄徳の息子を救出して名を上げ、五虎大将軍の一人となります。が、そこからいきなり二十年の時を過ぎた世界に突入。劉備関羽張飛もこの世の人ではなく、残る諸葛亮も趙子龍も晩年になり、蜀の勢力も衰え始めています。

趙子龍は、「三国志演義」の中で“不敗の将軍”として活躍し、後世の人々からも人気の高い人物です。伝説的な部分も多いと多いと思いますが、強さと義と徳を併せ持つ彼のキャラクターは、正統派。多くの人の心を動かすものでありましょう。それにしても、命がけで助けた劉備の息子はボンクラだし、時に“捨て駒”として使われ、時に身内に裏切られながらも、ブレない趙雲。(今の世の中、ブレブレな人ばっかりですからねー。)追い詰められて、もと来た場所へたどり着いた彼は、戦いの虚しさの中にいる。それでも、彼を突き動かすものは何か、考えさせられます。

そして、彼の意思と実力をしても成し得なかった願い、果たせなかった約束、過ぎ去りし日々への追慕を昇華させ、最後の戦いに望む姿に涙。間、二十数年の出来事が飛んでいるので、そのテンションについていくのはちょっと大変かもしれませんが。それにしても、アンディの若年の頃のアクションもさることながら、晩年の哀愁と立居振舞いも美しい。

趙子龍の兄貴分の平安(サモハン・キンポー)と曹操の孫娘曹嬰(マギー・Q)は監督の創作した人物。平安は、語り部となっていますが、ちょっと情けない人物。サモハンのアクションは一つもありません。ちょっと残念。でも、アクション監督はもちろんやってます。女将軍曹嬰については、ありえない設定ではありますが、曹操の遺志を継いだ激しさと冷徹さを併せ持つキャラクターとなっています。

個人的には、中国武術を習ったり中国の歴史小説を読むようになったので、以前より古装片を見るのが楽しくなりました。宮城谷正光の小説を読むと、色々な武器や兵器の名前が出てきますが、さすがにどんな形なのか分かりません。もちろん、創作もあるでしょうが、青龍刀の形に感動し、戦車や馬車の形、戦陣にも、目を見張ります。

そして、役者さんたちのアクション。道場で木刀やら棍を振り回しながら、いつかあんなふうにカッコよくできるようになるんだと、心に誓うのでありました。まあ、ワイヤーアクションは無理だけどねえ~。