「非情城市」 A City of Sadness と九份
1989年 台湾作品
監督:ホウ・シャオシェン
出演:リー・ティエンリュー、チェン・ソンヨン、ジャク・カオ、トニー・レオン、シン・シューフェン、ウー・イーファン
日本統治時代が幕を閉じ、国民党政府下に入った台湾の混乱を、基隆の家族を通して描いた作品。
ほとんどなかったらしく、この映画が受け入れられた時代の社会的背景が感じられます。
日本人が台湾を離れていく。変わらぬ台湾ながらの暮らしは残るが、日本が残した日本家屋に住み、
日本人風の名前すら持つ台湾人もいる。日本語の歌も聞こえる。広東語や上海語を話す、
大陸から流れてきたあやしい人達。国民党による粛清。
この時期に台湾人が経験したことを、ひとつの家族を通して、余分な説明なく淡々と描いています。
背景や構成が複雑な面もありますが、映像から多くのことが語られていきます。
1990年日本上映。丁度その年に台湾に行くまで、日本の植民地支配について漠然とした
知識があるだけでしたが、この映画を見て台湾の歴史の扉が少し開かれた気がします。
ロケ地となった九份は、19世紀末に金鉱が発見されてから栄えた町で、日本統治時代の
建物を色濃く残し、金鉱閉鎖後は忘れかけられた街となっていましたが、この映画の後
再び脚光を浴び、観光地として栄えています。
最近見た九份の写真は、絢爛な色合いでした。私が行った2001年ごろもすでに十分観光地でしたが
映画をで見たような、雨の多いというこの地ならではの靄のかかった風景でした。
最近日本では「千と千尋の神隠し」のモデルの街として、知られているようですけど
ジブリにはそんな記録はないんですよねえ。